二次関数で語れ

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その2・物を投げた時の軌跡は二次関数曲線?

二次関数のグラフを放物線と呼ぶのは何故?

何で二次関数グラフを放物線と呼ぶこともあるのでしょうね?
物理がらみになるんですけどね、やっぱり語り起しは万有引力の法則から。
そこまで遡りますか?
だって、面白いじゃないの。万有引力の法則っていうのは、『距離rだけ離れたところにある質量m1とm2の物体には、質量の積m1×m2に比例、距離の2乗r2に反比例する引力Fが働く』っていうことなのです。
  
  (Gは万有引力定数)
で、知りたいのは地球上の重力なので、rは地球の半径Rと置いて、m2を地球の質量M、m1を地上数メートルくらいまでにある、物体一般の質量という意味でmと書き換えると、
  F=mg (

G=6.672×10-11[m3/kg・s2] R=6,378[km]=6.378×106[m]、M=5.974×1024[kg] (理科年表より)
を式に放り込んであげると、g=9.798[m/s2]が求まります。《計算値》

ということになる訳です。つまり、地球上に有る質量mの物体には、F[N]=m[kg]×g[m/秒2]の重力がかかっている。
そして、地球も、同じ力Fで質量mの物体に引っ張られている。
そうそう!両方が引っ張り合っているんだ。で、お次は、運動の第二法則!
おぉっ、なんか凄いなぁ。
質量m[kg]の物体に、力F[N]がかかると、力の方向・向きに加速度a[m/秒2]が生じます。その関係は、
  F[N]=m[kg]×a[m/秒2]
あ〜、なんかさっきのF[N]=m[kg]×g[m/秒2]に形がそっくりですねぇ!
そうそう。だから、gの単位は加速度の単位[m/秒2]で、gは重力加速度という名前で呼ばれている訳ですね。

で、何で放物線ですか?
物体を斜め上に放り投げるとき、手から離れるときの物体の速度を初速度っていうんだけど、初速度は、地面に平行な成分と地面に垂直上方の成分とに分けて考えことができるんです。というか、そうしないと、重力加速度が扱えないので、是非そのように考えてほしいのであります。
  

はいはい、分ければいいんだね、兎に角。
そうですっ!x軸、y軸の座標軸の原点から仰角θ、初速度v0で投げ上げたとします。そうすると、そのx成分vx0とy成分vy0は、
  vx0=v0・cosθ
  vy0=v0・sinθ
になります。
あの〜、sin、cosは高校生以上でないと厳しいのではないかと…。
うん、図を描くプログラムで計算上sin、cosを使うだけなので、ぼんやりとこの図のような分け方をすると考えてくれていて構わないです。
速度vのx成分だけを取り出して空気抵抗諸々外力を全く無視して考えると、無限に一定の速度vx0のまま(等速直線運動)になります。
運動の第一法則ですね?
はい。
  vx(t)=vx0
従って、位置のx座標は、
  x=vx0・t…A

速度vのy成分は、重力以外を全て無視できるとすれば、初速度vy0、加速度gの等加速度運動となります。
  vy(t)=vy0-gt
従って、位置のy座標は…
ちょっと待って、等加速度運動の移動距離ってどうやって計算するんでしたか?
積分をご存知の方は、
  
っていうことで、大変スムーズなのですが、未だ積分やったこと無い人は、v-tグラフの面積を求めてくれたらそれでいいです。等加速度運動(v-tグラフは直線)だから、中学校の数学で何とかなりますね!
  

え〜っと、上底がvy0、下底がvy0-gt、高さがtの台形ですよね?だから、面積yは、
  y=(vy0+vy0-gt)・t÷2=vy0t-gt2/2
はい、確かに同じ式になります。
  …B
で、AとBからtを消去してみると…、
A を変形してt=x/vx0をBに代入するんですね?
  
あ〜、yはxについての2次式の形になりましたね。しかも、x2の係数は負だからおわんを伏せたような形の…。放物線は二次関数のグラフと同じ形になるハズですね!
そうそう。ついでに、上に放り投げたボールが到達する時刻は、vy0=gtになるtだから、
  th=vy0/g
なので、最高到達点(二次関数の極点)の高さが
  yh= vy02/2g
元の高さまで落ちてきたときの時刻はを解いて、
  t=2vy0/g(但し、vy0が正のときのみ。…斜め下に投げ落としたときはこの式は使えません)
で、そのときの位置を計算すると、
  x=2vx0vy0/g
前回やった、二次関数の極点の座標に当てはめると、になります。最高到達点の距離は極点の座標と一致しますし、到達距離は極点までの距離の2倍になってますね。

初速度v0と仰角θ、或いは、vx0とvy0を入力すると放物線を描く[斜方投射JavaScript]を作ったので遊んでみてね。 同じ初速度v0で、一番高く上がるのは、θが何度の時でしょう? また、到達距離が一番遠いのはθが何度の時でしょう?
v0=14くらいにして、θを、0°、30°、45°、60°、90°などで試してみてください!
  
30°のときと60°の時って…高さが違うけど、到達距離が同じですね。20°と70°の時も!!


補足1:sin・cosから斜方投射を考える

sin、cosを使って補足します。計算式は、ざざっと眺めてくださればいいです。

最高到達点の高さと到達距離を、v0とθを使って書くと、
  最高到達点の高さ=vy02/2g=v02・sin2θ/2g
  到達距離=2vx0vy0/g=2v02・sinθ・cosθ/g
ご参考までにsin2θとsinθ・cosθのグラフは下の様になります。
  
最高点が、θ=90°=π/2ラジアンのときに最大になることは明らかですね。だって、真上に放り投げるのですから!
sinθ・cosθのグラフより、θ=45°=π/4のときに到達距離が最大になるのですね。
もちろんこれは、空気抵抗なんかを無視できる場合で、実際に遠くまで届く仰角はもっと低いです。

sin30°=cos60°、sin60°=cos30°などを考えると、θのときと(90°-θ)のときの到達距離が一致するのも良く分かります。

補足2:重力加速度の実測値と、もしも他の惑星だったら!?

地球上のgの実測値は、理科年表に書いてあるから図書館へ行ってしらべてみると面白いですよ!地上では地球の自転による遠心力などの差によって、緯度が高い方がgが大きく、低いとgが小さくなり勝ち。ちなみに理科年表平成20年のP222〜P224に書いてある日本各地のgの表を見ると根室が一番大きくて石垣島が一番小さくて、日本各地のgはこの間に収まっているようです。   
折角万有引力の法則まで出してきたのだから、他の星のgも求めてみましょう。
冥王星は、もう、平成20年の理科年表の惑星のページには載ってないのですね。惑星だった時代を偲んで、平成19年版から引っ張ってきました。そして、[斜方投射JavaScript]では月の重力加速度と、無重力も選択できるようになっているので試してみてくださいね。
初速度5[m/秒]仰角45°だと地球上では2.55mしか飛ばないのに、月面だと15.41mも飛ぶのですね!!

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2008.07.12

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